絵画ⅣA系スクーリングで裸婦ダブルポーズを描く。

将来に備えて抽象画を勉強したいけど、そのためにはまず具象をきっちりやっておかなければならないだろう。そういう思いが強かったので、武蔵美通信ではその計画に基づいて系統立てた勉強をしたいと思い、絵画Ⅳは当初はB系を選ぶつもりでした。絵画ⅢをA系、絵画ⅣをB系、絵画ⅤをA系と交互に選んでいけば、具象と抽象の両方をまんべんなく学べるのではと思っていたのです。
ところが先生に相談したところ、「それでもいいけど、絵画ⅣのA系ではモデルさん2人のダブルポーズを描くんだ、めったに描けないから受けておいた方がいいよ」と言われました。
これを聞いて、わたしの気持ちはグラグラに揺れました。そうとう悩んで迷ったのですが、美大でしか勉強できないことだろうと思い、最終的にはA系に決めました。

裸婦のダブルポーズをどう考えるか?

ダブルポーズはやはり素晴らしくて、モデルさん2人もかなりプロ意識の高い方々なのか、頑張っていろんな動きのあるポーズをとって下さいました。
とくにクロッキーでは5分ごとにポーズを変えてもらえるので、組み合わせによっていろいろな形が出来上がることも、何か新鮮な発見でした。

モデルさんへの対応と言う意味でも学ばせていただきました。
前回の記事『裸婦モデルさんを描くときに厳守すること。』でシビアなモデルさんの話を書きましたが、これらはほぼ、この絵画Ⅳで遭遇した2人のモデルさんからえた教訓です。
ポーズが始まってもまだおしゃべりしている学生を一括された話、出入り口をモデルさん専用に指定された話などがそうです。
だからどうということではなく、これらは経験として受け止めておこうと思います。

さて、毎回行われる前提講義では、2人の有機的な関りということが強調されていました。

木炭デッサンでは、この2人の対比を考えて、トーンを変えてみたりしました。そういうことが必要だったのかどうかはわかりませんが、否定はされませんでした。

A系なのにB系の授業が気になってしかたない

かなり迷っていたので、友人が受けていたB系のクラスにも未練があり、休憩時間や放課後などにしょっちゅう様子を見に行って、話を聞いたりしました。
B系では、主にモデルさんが動いているところを描画するムービングをやっているようでした。休憩時間ですから、もちろんやっているところは見れないので、描画したものが貼られていたり置かれているのを見せてもらっただけなのですが、それだけでもかなり自由な描画を行っている様子が手に取るように伝わってきました。フリーペイントやドロッピングなど、わたしが大好きで、自宅でしょっちゅうやっているような光景が目の前にあったのです。楽しそう! しまった! と後悔しました(笑)。
もしもB系を選んでいたら、ふだんはまったく自己流でやっているこういった描画法を、先生の指導の元、もっとちゃんと学べたんだなぁと。B系の授業でもっとも受けたかった、いや受けた方がよかったなぁと思ったのは、この絵画Ⅳです。
そういう後悔半分で受けることになったので、貴重なダブルポーズにも、どうにも身が入ったとは言えない状況でした。

スクーリング中に宿泊先を引っ越し

おまけに、半日休まなくてはならない事態に追い込まれてしまいました。
この頃はまだ福岡に住んでいたため、スクーリングを受けるためにウイークリーマンションを契約したのですが、4週間同じところを借りることが出来ず、2週間で別の物件に引っ越しをしなくてはならなかったのです。当初借りていた小川町のロフトハウスから立川曙町のウイークリーアパートに引っ越さなければならず、引っ越しそのものはまぁ夕方授業が終わってからなのですが、仲介の不動産屋さんに「〇月〇日の午後3時に必ず鍵を取りに来るように」とのお達しを受けたのです。
午後3時という中途半端な時間。すぐ近くならちょっと抜け出して、と言うのもできたでしょうが、鷹の台キャンパスは駅からバスで20分以上もかかる不便な場所。不動産屋さんは立川駅から徒歩15分程度。いろいろ考え合わせると、午後の授業をまるまる休まなくてはなりません。しかたなく先生に伝え、水曜日の午後の授業をまるごと欠席しました。
6日間の授業は、前半3日間が木炭デッサン、後半3日間が油彩というスケジュール。絵画Ⅳも前例同様に、前半3日間、つまり火、水、木曜日が木炭デッサンでした。鍵を取りに行くのは水曜日だったため、中日の午後をまるまる休み、延べ時間にしておよそ1/5(前提講義と講評会をのぞいて)の遅れをとることとなりました。まだ最終日ではなくてラッキーだったともいえます。これが木曜日だったら午後3時頃はちょうど講評会が行われるため、欠席すると単位が取れなくなるところでした。
鍵を取りに行き、ワゴン車を借り、荷物を積み込んで引っ越し。部屋で描いていた80号と100号のキャンバス合計4枚などもあり、ナビがついてるのに迷うし、物件の前の道が狭すぎて、離れた場所に停めて大きな荷物を担ぎだしたりと、今思うと考えられないぐらい強行軍なことをやっていました。
そんなわけで、せっかくのダブルポーズなのですが、どうにもいまいちノりきれず、消化不良の様相。こういうときにかぎって、前で描いてる人や、周りの人たちの作品が妙に気になったりして、集中力を欠いたものになってしまいました。

油彩の色使いの手順的なことを教わる

後半3日間は油彩。先生も、I 先生からO先生に交代。
O先生には、前年に受けた絵画Ⅰ油彩でも指導していただき、そのときに色彩に関して大事な助言をいただきましたが、今回もわたしのキーワードは色使いでした。他の人たちも色に関して助言をもらっていたのか、それともわたしだけだったのかは、あまり注意して聞いてなかったのでわかりません。
具体的には、例えば人体の色を肌色で描きだしたのだけど、でもいずれは赤にしようと思ってるので、バックは最初からそれと呼応する色にしておきたいと思っていたら、そういうときはまず、バックには、肌色に合わせた色を置いておく。で、人体の色を変えたら、今度はそこに合わせてバックの色も変える。常に、画面に現れた色彩に呼応して、手順手順で色を置いてゆくこと。つまり、頭の中だけで計画して置いたりしちゃいけない、ってことですね。
そんなふうにして、完成したのがこの作品です。

絵画Ⅳについては以上ですが、日付を見ると、この記事を更新するのになんと1か月もかかってしまっています。いかに授業にノれなかったかというのが、こういうとこにも現れてますよね。まぁ、そんなときもあるか(笑)。