海外にキャンバス作品を配送する

最近は、海外のグループ展やコンクールに日本から参加する人も増えてきました。魅力なのは、在廊できなくても展示だけ参加できることですが、そこで不安になるのが作品の搬入出と配送。海外にキャンバスなんて送れるの? 送料高いんじゃないかな。よくわからないし今回は応募やめとこうかな、なんて諦めたことありませんか。せっかくの展示機会を逃すことがないよう、今回はわたしの経験をもとに送り方などを解説します。

 

日本から海外へキャンバスを送るならEMSが便利

日本から海外に作品を送る場合、最も便利なのは郵便局のEMS(国際スピード郵便)です。
長編の長さ1.5mまで、胴回り3mまで、重さ30kgまでの荷物を取り扱ってくれるので、わりと大きめのキャンバスも送ることができます。胴回りというのは、長編以外の部分の周囲をくるっと測った長さ。日本でよくある3辺合計に換算しなおすと、長編+短編の合計×2。大雑把ですが、梱包材を最小限に抑えれば、F40号(1,000+803×2+25×2=2,656mm)まで送れることになります。または、P50号(1,167+803×2+25×2mm=2,823mm)。
この大きさ・重量制限ですが、例えばアメリカ合衆国に送る場合は長編+胴回り=2.75mまで、スウェーデンは重さが20kgまで、スペインは長編1.05m、胴回りも足した合計が2mまでなど、送付先の国によっても違いがあります。また、取り扱いのない国や、取り扱いのない地域を含む国もあります。送る場合は必ず郵便局のサイトで確認してみてください。

取り扱いのある国なら、送り方はとても簡単で、郵便局のサイトでマイページにログインし、送り状に必要事項を記入してプリントアウト、荷物と一緒に窓口に持っていくだけです。自宅にプリンターがなくても、二次元コードまたは印刷番号を控えて行けば送ることができます。「ゆうプリタッチ」(専用プリンタ)の設置された郵便局なら二次元コードで印刷、設置されてない郵便局なら、窓口で印刷用番号を伝えれば印刷してくれます。

内容物については、パネルとか、キャンバスとウッドフレームなどと書きますが、これも相手は事情を察知してくれていて、単なる材料なのか、絵が描いてあるのか確認されます。描いてあれば、油絵、アクリル絵の具など、画材を詳細に聞かれるので答えられるようにしておきましょう。
わたしはアクリル絵の具で制作するので、オイル成分が含まれているかどうかを確認されました。送り状にも、局員さんの手書きで「no oil」と書き加えられています。要は発火性があるかないかを確認されるのです。
もしも油絵で、オイル成分が使われている場合、EMSで受け付けてくれるのかどうか、別の方法に扱いが変わるのかは、送ったことがないのでちょっと分かりません。ごめんなさい。

配送にかかる日数は、検索するとなぜか2~4日程度と出てきますが、郵便物か荷物か、また地域によって違うようです。時期や情勢によってもかなり前後するので、その都度サイトで確認するしかありません。窓口で尋ねても、「はっきりとはお伝えできない」という答えが返ってきます。展示予定日など、到着のリミットが決まっている場合は、余裕を持って早めに送るほうが良さそうです。
ちなみに、わたしが荷物を送った場合の例でいうと、
⚫️2024年2月頃、日本からニューヨークに送った場合、約9日間、
⚫️2024年5月頃、日本からロサンゼルスに送った場合、約11日間、と表示されていました。
金額は、以下でした。
⚫️日本からニューヨークに送った場合、4270g (80×80×15cm) 13,900円
⚫️日本からロサンゼルスに送った場合、1594g (44×44×6cm) 7,290円
(  )内は大きさですが、控えに記載されてないので、制限内ならあまり関係ないのかもしれません。

最初のニューヨークはS20号を1点、2度目のロスは、S6号、F6号、S0号の3点をまとめて送りました。すべて額装なしでキャンバスだけです。最初はよくわからないのと、扱いなども心配だったので、段ボールでかなり何重にも頑丈に梱包して、重くなってしまいました。その反省から2度目は、国内で送る時よりもちょっと頑丈、ぐらいにマイナーチェンジしました。キャンバスの大きさの違いもありますが、かなり軽くして送れたと思います。

 

海外から日本へキャンバスを返送する場合

日本でも海外でも同じことですが、ギャラリーで展示し終わった作品は、販売されないかぎり搬出しなくてはなりません。
そしてこれも同じことですが、搬出作業に行けない場合は、誰かに梱包して送り返してもらうことになります。
相手(ギャラリストやキュレーター)がわざわざポストオフィスに持って行って、同じようにEMSで送り返してくれれば一番いいのですが、正直、そうできない場合の方が多いです。日本のギャラリーでも同じことですよね。だいたいは、集荷を頼める業者に依頼して取りに来てもらうところが多いです。
そんなわけで、返送の場合はこの2つの手配↓を、日本から行うことになります。
・作品を壁から外して梱包する
・運送会社にギャラリーまで集荷に来てもらう

送った荷物を送り返してもらう場合、間違いがなくて安心なのはヤマト運輸です。ヤマトの営業所は海外の主要都市に必ずあるので、集荷に来てくれますし、梱包するサービスも有料で引き受けてくれます。日本の営業所で相談もできますし、今回は海外展示だから特別に予算使おう、と割り切ってヤマトに頼めば、いろんな意味で安心です。

やりとりに慣れてきたり、できるだけ予算を抑えたい場合は、海外の配送会社を使用することになります。
アメリカから日本に送る場合、梱包の問題が解決できれば、わたしはFedExのリモートピックアップを使っています。
以下は、2024年の2回の展示で、作品の返送にかかった費用です。

⚫️ニューヨークから日本へ送った場合
 キュレーター手配 業者による梱包料 2万円
 FedEx リモートピックアップ キャンペーン中で割引あり 13,806円 
 (ちなみに、DHLでも見積りを取りましたが、約6万円だったのでやめました)

⚫️ロサンゼルスから日本へ送った場合
 44×44×6cm(17.3×17.3×2.5in) 1594g(3.5lb)
 梱包は無料(キュレーターによる手作業)
 キュレーターが手配してくれたヤマト運輸の配送料 着払い(現金のみ) 約2万円
 (↑これはキャンセルしてもらう)
 自分で手配したFedExのリモートピックアップ アカウントで決済(カード払い) 10,211円 

これはあくまでも、アメリカから日本に送った場合ですが、国や距離によって、また状況によって、DHLのほうが安く送れる場合もあるようです。ドイツの知人が、「FedExを使う予算はないのでDHLで送る」と言っていたこともありました。
違う国へ送る場合はとくに、その都度、見積もりを取ったほうが確実です。

 

アメリカからの返送はFedEX リモートピックアップ

FedExで返送を頼む場合、サイトでアカウントを作って、マイページから送り状を作成します。
必要な書類は、送り状とコマーシャルインボイスの2種類。送り状を作成するとき、「この内容を元にコマーシャルインボイスを作成」にチェックを入れれば、FedExのフォーマットで自動的に作ってくれます。どちらもA4サイズで、送り状は1枚、コマーシャルインボイスは3枚プリントが必要なので、PDFを現地の担当者にメールで送って、プリントしてもらっておきます。それと別に、申込者ではない住所に集荷に行ってもらうための、「リモートピックアップ」申請が必要です。これも、サイトからダウンロードして記入、FedEXの担当部署にメールで送信して依頼します。たとえ集荷先と配送先を間違いなく書いても、リモートピックアップを申請しないと、アカウントの持ち主のところに集荷に来てしまいます。実はわたしも最初は知らなくて、東京の自分の住所にFedExの集荷不在票が入っていてびっくりしました(笑)。
この説明を見て「え、無理」と思った人、サポートに電話することをお勧めします。日本語でとても親切に教えてくれるので、最初はもう割り切って、聞きながら作ったほうが早いです。電話も比較的繋がりやすいと思います。教えてもらって一度でもやっておくと、次から自分でできるようになりますよ。

 

海外展示は、自分で運んで持って帰るのが一番

以上は、現地に行けない場合でも展示できる、発送・返送方法でした。
でも、そのどれよりも一番いいのは、自分も現地に行ってレセプションなどに出席・在廊し、作品も手荷物として持っていくことです。そうすれば、展示しない小品も追加で持って行って、何かあれば見てもらうこともできます。
飛行機の機内預けなら、全日空国際線の場合、3辺の合計が158cm以内、重さと個数は、ファーストクラスは32キロまでの荷物を3個まで、エコノミークラスは23kg以内を2個まで。※重量が超えると追加料金となります。
ちなみに、機内持ち込みの荷物は、115cm(55×40×25cm)、重さ10kg以内。
これも航空会社によって、またLCCなどの場合も違うので、事前に確認しておきましょう。
大きな作品は、剥がして丸めて持っていき、現地で木枠か額を購入してセッティングする人が多いようです。
ですが、現在は、日本以外の国はほとんど物価が高く、とくにアメリカ・ニューヨークはかなりの状況なので難しいかもしれません。
海外で展示することを今後視野に入れるなら、海外の額や木枠の規格に合わせて作品を作るのも方法のひとつかなと思ったりしました。日本で発表するときは変形になるので、既製の額が使えないというデメリットはありますが。

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