画家の体力作りと健康対策

絵を描く作業は、とても体力を使うものです。
わたしはライターの仕事が長いので、屋内で行う仕事というと、パソコンに向かって原稿を書くことと比べてしまうのですが、絵を描くほうが、それはもう比較にならないぐらい脳も肉体も酷使します。
そんなわけで、健康と体力作りにはとても気を遣うようになりました。

体調がベストでなければ妥協が生まれる

常にベストなモチベーションと気力を保って、スイスイと仕事が進められれば理想的なのだけど、なかなかそうはいかないものです。
身体がだるいなと感じたり、気力がわかなかったりすると、思うように作業は進まない。これは、実はとても危険なことなんですね。
ああちょっと大変だから下地は一回でいいかとか、チューブを取りに行くのが面倒だから、とりあえずこの色でも使っとくかとか、小さいところで妥協が生まれてしまって、意図どおりのプロセスを踏むことができなくなってしまうからです。
それで偶然いいタッチが出たり、これだ! と思ういい方法が見つかったりすることはたしかにあります。だけど、それはたまたま得られるご褒美のようなもので、基本的には、できるだけ思い通りの線が引けたり、思い通りの色やタッチが出せたり、自分なりの技術を確立することに努めていかなければ、いつも行き当たりばったりになってしまうし、プロとして安定した仕事はできません。それに、そうやってふだんからちゃんと積み重ねていかなければ、ご褒美の瞬間だってやって来ないのです。
わたしの好きな言葉に「日々の積み重ねが一瞬の奇跡を生む」(イチロー選手)というのがあるのだけど、まさにそういうことなんです。

集中力を出す禁断の方法

それならもう、寝たいだけ寝て、スッキリ起きられたら作業をする、というふうにしていればいいんじゃないか。そしたら気力体力ともに充実するし、効率もよくなるのでは。そう思って、一時期はそれを実行していたこともあります。
そうすると、確かに超人的な集中力が出て、いい仕事ができるのだけど、起きている時間がほんとに短くなってしまうんですね。
当然、絵を描く時間はもっと極端に短くなるし、なぜか毎日起きる時間がだんだん遅くなって、生活時間がずれていってしまいます。
まぁよく言われるように、人間の身体って、遊びと余裕を持たせるために、25時間周期で回るようにできているからなんですが。
なので、その方法を使うのは、ほんとうにもう「ここぞ!」という大事なときだけに限ることにしています。いや、できればやらないほうがいいのですが、ほんとにせっぱつまって仕方ないときは、この方法に頼っているのが現状です。
それはともかく、日常的に、コンスタントに仕事できる体力を継続して行くためには、やはり朝は多少眠くても無理をして起きて、アタマと身体をしゃきっとさせる工夫をしなければならないでしょう。
これは、そもそも、会社勤めをしている人ならごくあたりまえのことなのだろうと思います。
わたしは、そういうあたりまえのことができなくて苦痛で、ストレスがたまりすぎて会社勤めをやめて、フリーになることを選んだぐらいなので、ほんとに苦手なんだけど、まぁやっと、そういうことに気づいたというか(笑)。
毎日、できるだけいいコンディションでいられるように、制作時間を長くとれるように、体力作りや健康対策に気を遣うようになりました。

健康と体力維持のための注意点

ベストなコンディションを維持して、できるだけコンスタントに制作していくために、試行錯誤しながら、わたしなりに行きついた心がけるべき注意点はこんな感じでした。

●睡眠をしっかりとる
●規則正しい生活を心がける
●食事の時間を決めて、少しでも必ず食べる
●定期的に空気の入れ替えを行う
●一日一度は屋外に出るようにする
●制作中は適度に休憩をはさむ
●ある一定の域までテンションを上げることを心がける
●意識的にコントロールして集中力を高めてゆく

考えてみればどれも、よく言われているほんとうにあたりまえのことだらけですが、そのあたりまえのことを、頭の中で意識できるようになるまでに、かなり試行錯誤がありました。身をもって失敗をくり返すことで、ようやくたどり着いたという感じでしょうか。
もちろん、これらは、最良の方法がみつかればこれからもどんどん追加していくし、更新もして行こうと思っています。
あるとき突然、内容が変わっていたらそういうことなので、ごめんなさい(笑)。