額装・差し箱ワークショップのお知らせ
なんと、このわたしがワークショップの講師をつとめることになりました。
8月24日(日曜日)です。みなさん、ご予定いかがですか?
じつは今、8月1日〜31日の期間で、アーティストのオガワミチさん、館星華さんと一緒に、スタジオ型アーティストインレジデンス『NAMIKI AiR』に参加しているのですが、そこでワークショップなんかあるといいかもねという話になって、「差し箱の作り方ならできるなぁ」とか言っちゃったんですね。
たしかに差し箱なら、いろいろ工夫と苦労と失敗を重ねて、かなり完成度の高いものが作れます。
差し箱という形態に行き着くまでにも、たくさん試行錯誤を重ねたので、なぜ他の箱よりも「差し箱」がいいのかということも熱く語れます。
でもわたし、実は常日頃から、ものを教える仕事だけはやりたくない、先生にだけはならない、たとえ絵画教室であっても……。なんて思っていたんですよ。
なぜかというとたぶん、自分がこれまで、たくさんの先生や指導者の方に散々ご迷惑をおかけしたり生意気なこと言って困らせてきたりしたので、「こんな生徒の相手しなきゃいけないなんていやだ、関わりたくない」なんて思ってるからなんですよね。
額装をどうするか、作品を入れる箱をどうするか問題
それでもやるのか、なぜ?
理由はもう一言に尽きるのですが、「自分が困ってたから」。
需要としてはとてもニッチですが、でもね、本気で作品を作って販売を始めると、必ずここにぶち当たる。そして、そういう人たちは常に一定数いる、とわかっているからです。
ギャラリーなどで展示するなら、作品さえ傷つかずに運べればいいわけだから、プチプチで包んで箱や袋などに入れて持っていけばいいです。
問題は、お客様に作品を購入していただいたとき。
さあ送ろうと思っても、ちょうどいい箱ってなかなかないですよね。
市販の額を購入すれば、ほぼ箱も一緒についてくるのでそれを使えば良いです。
箱の上からプチプチでぐるぐる巻きにして、ラベルを貼れば送れます。
でも頑張って自分で手作りした額だったり、流行りのアクリルケースのような額をオーダーで作ったりしたとき、箱のついてない額を買ってしまったときは? そもそも額装しないでキャンバスだけでお渡しするときは?
困りますよね。
わたしは、ほかのアーティストさんの作品もいろいろ購入するので、買った人が困る箱というのもよくわかります。
大きめの箱(仮に発送箱と呼びます)に詰め物をして、プチプチで包んだ作品が入っているとか。でも発送箱って、家でそのまま保管するには場所を取りすぎてしまいます。ほとんどの場合、捨てますよね。そしたら作品は裸のままです。飾ってるときはいいですが、何かあっていったん箱に入れたいとき、とても困る。
送る方だって、じつは困ります。やってみるとわかるのですが、ちょうどいい大きさの箱ってなかなかない。送る都度、探したり買ったり作ったりしなければならない無駄な時間と手間。送料も気になるから、メジャーで測りながら大きさを調整したりして。市販の箱を加工したりすると、たいてい不格好になります。それが納得いかなくて、一つの作品を送るために丸一日かかったこともあります。作業に取りかかるにも、気合と根性がいるので疲れてるときはできないです。そんな気合と根性があるタイミングなら、作品作りたいです。
まったく、頭が痛い問題です。
作品だけが入るちゃんとフィットした箱(作品箱と呼びます)があれば、家で保管するときに場所を取りすぎることもないし、送料も少なくて済みます。何より、その作品専用というのがいいじゃないですか。
作れるだけで商売になる?差し箱
ギャラリーのバックヤードには、大小様々な、でも形は同じ箱がずらずら〜っと並んでいます。
写真のような、こんな箱です。額装した絵が、まさにシンデレラフィットな感じでぴったりと入っています。
実はギャラリーには、出入りの「箱屋さん」という業者さんがいて、中に入れるもののサイズを伝えて、この箱とこの中にさらに入っている「黄袋」を作ってもらうのです。
金額は数千円なので、オーダーしてもいいのですが、何十点もになると、かなり費用がかさんでしまいますよね。
(余裕があれば、一度プロが作る箱をオーダーしてみると、さらに箱ツウになれます)
これ、自分で作れればよくない? ということで、自作しているアーティストさんはたくさんいます。
そんなわけで、やるからには「行ってよかった!」と満足していただけるワークショップにしようと、練りに練っている間に、かなりの豪華版になってしまいました。以下、内容です。
BOX額 額装➕差し箱作り、二部構成のワークショップ
差し箱を作るといっても、中に入れるものがあっての箱。ということで、前段階として、まずは作品を額装して、その額を入れる箱を作る、という二部構成にしました。
今はキャンバスのまま額装しないで展示するアーティストさんやギャラリーさんも多いですが、たとえば百貨店の美術画廊では額装必須だし、銀座などでも画商さんが営んでいるギャラリーでは、額装推奨のところも多いです。
そして、額の中でもいちばん評判がいいのは、BOX額セッティング。
箱のような額の中に、フローティング貼りしたキャンバスをセットして、裏板の後ろからとめる方法ですね。これたどキャンバスのサイドの厚み部分も見えるので、フチまで絵を描いてる人や、サイドをちょっと工夫してる人、ふちにサインを入れてる人にもありがたかったりします。
キャンバスの貼り方や、サインをどこに入れるかについては、また別の機会に。
イケアの額を使ってBOX額セッティングするよ!
そしてですね。さらに、BOX額ってじつはけっこうなお値段するんですが、すこしでもコストを抑えるために、市販のわりとリーズナブルな額を使ってみよう、という挑戦を試みています。
具体的に言うと、イケアの「サンナヘド」というシリーズの額です。これの小さい方だと、ちょうど、S0号がセッティングできます。残念ながら現在大きさが2種類しかないのですが、合えばラッキーということで。
たとえば、市販のBOX額4000円vsIKEAのサンナヘド999円。
4000円ならまぁ、と思うじゃないですか。それを10コも20コも額装するとなると、差額は10コで3万円とか6万円とか開いてくるわけです。まだ新人であまり価格を上げられないとか、ギャラリーのコミッションが多いとかになると、ここは大きいです。
ただ、見た目はとても綺麗なのですが、お値段だけあって、細かい部分は安く上げてあったりします。
なので、市販のBOX額にあって、IKEAの額にないものを足したり、ちょっとした加工を施しながら、グレードアップさせる、というわけです。
またそのほか、この場合の額装ってどうしたらいいの? 額はどうやって選ぶの? など、いろんな額装の手法も解説する予定です。
額装&差し箱ワークショップ
BOX額のセッティング、差し箱作りを学びます。
1)BOX額 額装講座
アーティスト必見、作品の様々な額装について解説。デッサン額、油彩額、アクリルケース額。購入・オーダー時に注意することなど。
実演では、IKEAの額を使ってS0号キャンバスのセッティングをしていただきます。
セッティングした額、キャンバスはお持ち帰りいただけます。
※額と白キャンバスをこちらで用意していますが、額装したいS0号の作品がある方はぜひお持ちください。その場合、使用しなかった白キャンバスはお持ち帰りいただけます。
2)差し箱 作成講座
作品箱・黄袋の役割、必要性、箱の種類について解説。
配送用の梱包のコツ、注意点など。
実演では、ダンボールを使って実際に差し箱を作っていただきます。
作成した差し箱、額はお持ち帰りいただけます。
8月24日(日)
- 13:00〜 BOX額 額装講座
- 15:00〜 差し箱作成講座
いずれも1.5〜2時間
募集人数 ①②それぞれ先着10名様まで
参加費(材料費込)
どちらか1講座のみ受講 4000円
2講座とも受講 7000円
対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
使用する道具(使い慣れたものをお持ちいただくと作業がスムースです。若干数お貸し出しもできます)
1)筆記具、定規、カッター、ハサミ、鉛筆。
その他、あればタッカー、インパクトまたはドライバー(プラス・小)
2)筆記具、定規(45センチ以上推奨)、カッター、ハサミ、刷毛、水入れ、ウエスなど
場所:並樹画廊 イチカワbranchi
千葉県市川市市川1丁目16
申し込み・問い合わせ
メールタイトルに「ワークショップ参加希望」と明記。本文に、参加者氏名、連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を記載してお送りください。折り返しご連絡いたします。
詳細
https://www.namikigallery.com/news/jw72yxx7ksce6kzy4cfnw5a3jbhfyk
の額装について。様々な額装例を紹介。額の種類を解説。なぜ額が必要か。
S0号(180×180mm)のキャンバスを、250×250mmのBOX額にセッティングします。
0号キャンバス、完成した額をお持ち帰りいただけます。
開催概要
日時:8月24日(日曜日)
場所:並樹画廊 イチカワbranchi
千葉県市川市市川一丁目16-12