二科展のこと
毎年、ひまわりの絵を描いて、二科展に出す。
これは今では、わたしの画家生活における大事な
ライフワークのひとつになっています。
2013年に初めて出してから、
どうにかこうにか毎年出し続けていますが、
出すたびに、運良く入選しています。
二科展って、よくテレビのニュースなんかに
出ますよね。
たいていは、工藤静香さんが受賞! とか、
押切もえさんが入選! とか、
芸能人関係のニュースです。
過去には、石坂浩二さんとか八代亜紀さんとか、
五月みどりさんとか。
岸ユキさんもこのところ毎年受賞されていたり、
みなさんがんばってらっしゃいます。
え? 芸能人の絵画コンクール?
なんて、知らない人が見たら思うかも(笑)。
わたしも歌を歌ったりしているので、
友人から冗談で、
「かよこさんも、芸能人枠で通ったんでしょ」
とネタにされたりします(そんなバカな……笑)。
ちなみに、わたしの知る限りでは、芸能人枠なんて
ものはありません。……たぶん。
審査は、評議員や会員の先生方が会場に集まって、
その方々が座る前に応募作品が順番に運ばれて、
約100人の多数決で入選が決まるそうです。
ものすごい作品の量ですから、次から次へと、
もうどんどん流れていく感じで、その中の一つを、
有名人だからどうしようかとか、そんなこと、
相談してる時間の余裕なんてないわけです。
いくら何人かの先生のコネがあったところで、
100人の前で多数決で落選したら、そのあと、
無理やりねじ込むなんてできないですし。
入選に値する作品かどうか。
いいか悪いか、ただそれだけなんですね。
それじゃ、いい絵か悪い絵かって何で決まるの?
って話になりますが、それを話し出すと、
ものすごく長くなるのでまた別の記事で。
二科展てそもそも何なのか、わたしもそんなに
詳しいわけじゃなかったので調べてみると、
こんなことがわかりました。↓
日本では「日展」というのが最も古い団体で、
大正時代の「文部省美術展覧会」に遡ります。
フランスでいう「サロン」のような、
政府主催の展覧会で、画家の登竜門でした。
どの分野でもそうですが、新しい人が入ってくると、
新しい画風や傾向のようなものが生まれます。
新しいはずの洋画の世界でもそれは同じでした。
日本画部門は新旧の二科に分かれていたので、
新しい人も活動しやすかったのですが、
洋画部門は新しい風潮を認めなかったのです。
日本洋画の革新を目指していた新しい人たちは、
「第二科」の新設を働きかけましたが実現せず、
有志が脱退して新しく会を作ったのです。
つまり本来なら、日展の中に二科がある、という
構造になっていたはずだったのですね。それが、
外に出て新しく会となったので、「二科会」。
「流派にとらわれず新しい価値を尊重し、創造者の
制作上の自由を擁護する」ことを信条に(中略)
(第100回記念二科展パンフレットより)
それで納得しました!
わたしが二科展に出したいと思ったのは、
いつも見に行っていて、とても楽しいというか、
絵がまったく型にはまらず、とても自由な印象を
受けたからなんです。ここなら、自由に好きな
ものを描いても受け入れてもらえるかも、
と思いました。
逆に日展はアカデミックというか、なんだか、
堅苦しいな~と思っていたのですが、それも、
そういう、新しいものを認めない体質のせい
だったんですね。なるほど。
たしかに、ここ数年見ていて思うのですが、
洋画はどれもしっかり描かれていてうまい、
とは思うのですが、なんか面白くない……
というのが正直な感想だったんです。
勉強にはなるけど刺激にはならない?というか。
(日展のみなさん、ごめんなさい)
でも、なぜか日本画は、みなさんいろんな表現を
ためしていて、すごくキラキラしているというか、
面白いんですね。だから、見るのがいつも
楽しみなんです。
そういえば二科展には日本画部門がない!
のですが、それはそういう事情だったのですね。
作る必要がなかったわけです。
あと、二科会の歴史を遡ると、大好きな画家さん
たちがいっぱいいました! (敬称略)
安い曾太郎、熊谷守一、東郷青児、岸田劉生、
梅原龍三郎、小出樽重、中川一政、林武、
佐伯祐三、宮本三郎、岡田謙三、藤田嗣治、
岡本太郎、松本俊介。
さらに海外からは、こんな人たちも。
ジェレニェ不スキー、マチス、ドラン、ピカソ、
デュフィ、ブラック、モネ、ヴァン・ドンゲン、
ヴィヤール、ブールデル、ザッキン、ゴヤ、
ルオー、ロダン、モディリアーニ! すごい!
新しい作風を切り開こうと戦ってきた画家
ばかりです。こういう人たちを、両手を広げて
受け止めてきてるんですね。
ちょっと胸が熱くなってきました(←単純)。
二科展のこと、なんとなく、
わかっていただけたでしょうか。
毎年9月の始めには、六本木の国立新美術館で、
開催していますので、ぜひパワーを受け止めに、
いらしてくださいね。