アーティストについて
石倉かよこは、普通科大学商学部卒業後に社会人経験を積んだのち、2019年に武蔵野美術大学造形学部通信教育課程油絵学科を卒業、2020年より抽象画家として活動しています。
キャンバスやパネル、水彩紙に、アクリル絵の具、顔料、コンテなど多種類の画材と、コラージュや版表現などを併用した水性系ミクストメディアの手法で、重なりによる素材の積層感とテクスチャー、明るく鮮やかなピンクのバリエーションが特徴です。
作品について
ピンク基調の抽象画を描いています。
Pinkで「明るい未来への希望」を描く
春が近づくと、人はピンク色が気になり始めると言われています。花から連想するこの色は、寒く厳しい冬が終わり、暖かい春が来ることを想起させます。春は同時に、新たな門出や、幸せが来たことを例える代名詞でもあります。ピンクは、明るい未来を表す色でもあるのです。
わたしが美術の世界に入るきっかけとなったのも、17歳のとき一目惚れした「マゼンタ」という濃いピンク色でした。この色とずっと一緒にいたい、そうすれば何があっても希望を失わず未来を信じて生きていけると直感し、実際にこの色に助けられて前に進んでいます。
また、一言にピンクと言っても、数えきれないほどの種類があります。隣り合う色や形、重ねた色によっても、様々な表情を出すことができます。自分にしか出せない特別なピンク色を作り出し表現することは、わたしのライフワークです。
春を彩る『SAKURA Pink』シリーズ
植物の色や形、機能などから着想を得て抽象画を描いているわたしにとって、桜は原点とも言えるモチーフです。ピンクに様々な種類があることを教えてくれたのも桜でした。満開の桜は一見淡いピンクですが、花びらには付け根から濃いピンクの葉脈が走り、蕾は桃色ともいえる中間色に膨らみ、ガクは深いワインレッドの星形、幹や枝はこれらが生まれる前の凝縮されたピンク系の茶色。芽吹くころには周囲の山々さえうっすらとピンク色に染めてしまいます。桜は、その姿から取り巻く空気、匂い(桜の樹を伐ると、あたりは夢のような香りで満たされ、おがくずを集めて持って帰りたいほどだと言います)まで、どこまでも全身ピンク色なのです。
年に一度、毎年春に行う個展『SAKURA Pink』では、桜の花に代表される様々なピンク色の広がりと可能性をさらに追求して、会場いっぱいにこの色を咲かせます。春の銀座を明るく華やかに彩るとともに、明るい未来への希望を人々に届けたい思いで続けています。